末梢神経障害(損傷)とは?
ある時、急に手や足に力が入らなくなったり、触った感覚が鈍くなったりした場合、背骨から複数分岐して手や足の指先まで通っている神経の損傷を疑います。
医学的には、「末梢神経障害(損傷)」といいます。
神経損傷の部位によって、力が入らなくなる筋肉は違いますが、筋肉が麻痺したように、ある一部だけ全く力が入らなくなります。
また、その付近の感覚が鈍くなることがあります。
原因として、腫瘍や骨折、脱臼、打撲など、体に急な衝撃が加わって発症する場合もありますが、思い当たることがなく発症する場合もあります。
末梢神経障害(損傷)の重症度の分類
一過性神経伝導障害(neurapraxia)
いわゆる正座していると、足がしびれた時の状態です。
筋力がやや弱まるため、力も少し入りづらくなります。
神経が傷ついたり、切れたりしているわけではありませんが、神経への栄養が不足し、神経の機能が障害された状態です。
一時的に触れた感覚が麻痺し、力が入りにくくなります。
重傷度にもよりますが、数分~数週間で治癒すると言われております。
軸索断裂(axonotmesis)
一部の感覚がなくなったり、一部の筋力がなくなったりします。
前述した一過性神経伝導障害と違い、感覚が喪失します。
また、筋力も弱まる程度ではなく、なくなります。
病態として、神経の構造の中で、軸索と呼ばれる一部分が切れた状態です。
神経が全て切れているわけではないため、時間の経過とともに再生されます。
軸索断裂の場合、tinel(ティネル)徴候と呼ばれる現象が起きます。
tinel(ティネル)徴候とは、損傷した部分を刺激すると、関連する別の部分へしびれや痛みが発生する現象のことです。
軸索断裂からの回復は、断裂した部分から外側に向かって、1日約1㎜回復すると言われております。
その為、損傷した部分によって、回復の早さは違いますが、およそ1~3か月程度で回復すると言われております。
神経断裂(neurotmesis)
一部の感覚、筋力が完全に麻痺し、自然に戻ることはありません。
病態として、神経そのものが全て切れてしまった状態です。
この場合、自然回復することはない為、神経を繋げる手術を行ないます。
しかし、手術をしても、神経が少しでもずれて繋がった場合、神経の通りが悪くなり、完全に治らないということもあります。
ほとんどの場合、骨折などの大きな怪我に伴うことが多いです。
また、神経断裂のみでなく、軸索断裂が起きている部分と混在していることが多いため、経過を見ながら、治療を進めていきます。
末梢神経障害(損傷)の回復過程
神経損傷後の回復過程を示している図を、以下に引用しました。
神経損傷後は、切れた神経の先端が延びていき、再生されていきます。
再生する過程で、必要のなくなった神経の破片は、その他の細胞によって食べられてなくなります。
最終的には損傷前と全く同じではありませんが、ほぼ元通りに回復します。
末梢神経障害(損傷)の一般的な治療
脱臼、骨折、腫瘍などの原因が明らかであり、完全断裂の場合、神経を繋いだり、神経を移植したりします。
原因が明らかでないものは、3ヵ月様子をみます。
その後、全く回復しないものや、麻痺が進行する場合は手術を行うことが多いです。
必要に応じて、装具を使い、日常生活での動きを補います。
また、痛みを伴うものは鎮痛剤を処方されます。
当院の整体
末梢神経障害(損傷)になった場合、回復を促進させる必要があります。
回復を妨げる要因として、以下の問題が挙げられます。
- 骨・関節の動きが悪い
- 筋肉が硬い
このような状態になっていると、神経の回復を妨げる可能性があります。
そのため、末梢神経障害(損傷)の正常な自然治癒過程を妨げないよう、当院での整体を行なっておくことをお勧めします。
当院は、病院で勤務していた経験のある整体師が対応致します。
末梢神経障害の回復の経過を見定めながら、的確に筋肉の収縮に対する整体も行なっております。
また、筋肉の生理学的特徴を考慮して、セルフケアについてお話しすることもできます。
【参考】神経に対する整体