「肺がん手術後に背中や胸が痛くなる」とは?
肺がん手術では、肋骨を切除したり、肋骨と肋骨の間を開いたりします。
その影響で、肋骨の関節に多大な負担がかかります。
そのため、肺がん手術後には、以下のような多くの状態が生じます。
①呼吸がしにくい
呼吸がしにくくなり、通常の生活でも息切れなどが起こるようになります。
全身の筋肉や骨などに酸素が行き渡りにくくなるため、全身の機能が低下します。
②肩の痛み
肩の痛みが続きそのままにしておくと、四十肩や五十肩に移行し、肩が動かなくなってしまうことがあります。
③背中の痛み
寝返りや起き上がる時など、普段の生活で痛みを感じてしまうことがあります。
④脇腹の痛み
背中の痛みと同様に、少し動くだけで脇腹に痛みを感じることがあります。
また、皮膚がつれるような痛みが起こる場合があります。
肺がん手術後に背中や胸のつらさが生じる理由
- 肺の手術後は、肺の面積が小さくなり、酸素を効率よく体に取り込む機能が低下するため
- 肋骨を切り離し、元に戻す場合でも、肋骨の周囲の組織が硬くなるため
- 肋骨を開いて手術するためため、肋骨に関係する関節に強く負担がかかるため
- 手術後に皮膚が癒着し、肋骨や背骨、肩の動きを制限してしまうことがあるため
以下に、肺がん手術の特徴を記載致します。
どの術式を行なったかで、つらさの部位が想像できる場合が多いです。
肺がん手術の特徴
①標準的な術式(胸腔鏡併用手術)
一般的な、確実に肺がんを切除する方法です。
この方法では肋骨を一旦切除し、肺がんを切除した後、肋骨を元に戻します。
②胸腔鏡下手術
内視鏡のみで肺がんを切除し、基本的に肋骨を切除することはありません。
小さな肺がんを切除する場合に行ないます。
③胸骨縦切開
胸骨という胸の真ん中にある骨を縱に切り分けます。
胸骨は最後にワイヤーで閉じます。
縦隔腫瘍(心臓や付近の大血管、気管、食道、胸腺、リンパ節、神経節)を切除する場合に行ないます。