
元巨人軍投手の角盈男さんがご来院されました。



野球肩とは?
野球肩のメカニズムは、投球時に肩が過度に後ろへ引かれることで、肩周辺の組織が挟み込まれたり、組織の衝突が起きたりして痛みが出現します。
また、投球時に外側への捻りが過度に加わった時に、肩関節周辺の組織が伸ばされて、炎症や痛みが出現します。
野球肩が生じやすい投球フォーム
- 体の開きが早い
- 肘が下がっている
- 体が横へ傾きすぎている
その原因として、肩甲骨の動きが硬い、筋肉の柔軟性がないことが挙げられます。
一般的に姿勢や動作で「肩甲骨が重要」とよく言われますが、実際には「肩甲骨の周りにある関節が重要」ということなのです。
つまり、肩甲骨の周りにある関節が肩甲骨を動かしているのです。
肩甲骨が重要と言われる理由として、肩甲骨を指標にして姿勢や動作の良し悪しがわかり、肩甲骨を整体することで瞬時に効果が出るからです。
では肩甲骨を動かしている関節を挙げてみます。


- 肩甲上腕関節
- 肩鎖関節
- 胸鎖関節
- 胸肋関節
- 肋椎関節
これらの関節がポイントとなり、一つひとつ動きを確認していきます。
①の肩甲上腕関節は野球肩を引き起こしている直接的な原因になっていることが多いです。
②の肩鎖関節は主に、肩を横から挙げた時に動きます。
この関節が硬くなるとアクセレレーション期に肘が下がってしまいます。
③の胸鎖関節と④の胸肋関節と⑤の肋椎関節は肩甲骨を引き寄せたり、肩甲骨を上げたり下げたりする時に動きます。
この関節が硬くなり肩甲骨を引き寄せる動作が不十分になるとコッキング期に体の開きが早くなってしまいます。
また、肩甲骨が上がった位置で固まってしまうと、投球のアクセレレーション期に肘が下がってしまいます。
股関節の動きが硬い 筋肉の柔軟性がない
股関節については軸足と踏み出す足に分けて考えます。
まず、軸足はワインドアップ期に体重がかかります。
この時、股関節の内旋・内転方向に柔軟性がないとうまく体重が乗らずに、その後のコッキング期に体の開きが早くなってしまいます。


次に踏み出す足はコッキング期~アクセレレーション期に体重がかかります
この時、股関節の内旋方向に柔軟性がないと、つま先が外側に向き、体の開きが早くなってしまいます。
肩のインナーマッスルが弱い
肩甲骨周りにはたくさんの筋肉がついています。
前述した肩甲骨の動きに関与する重要な筋肉です。
特に注目して見る筋肉を挙げます。

- 肩甲挙筋
- 僧帽筋上部
- 僧帽筋中部
- 僧帽筋下部
- 菱形筋
- 大円筋
- 広背筋
- 肩甲下筋
- 棘上筋
- 棘下筋
- 小円筋
- 小胸筋
- 烏口腕筋
- 三角筋
- 前鋸筋
これらの筋肉にこわばりや筋力低下があると肩甲骨の正しい動きを阻害してしまいます。
①の肩甲挙筋と②の僧帽筋上部は肩甲骨を上に引っ張る作用があります。
この筋肉にこわばりがあると肩甲骨が上がってしまい、相対的にコッキング期~アクセレレーション期に肘が下がってしまいます。
③の僧帽筋中部は肩甲骨を内側に引き寄せる作用があります。
この筋肉にこわばりがあるとフォロースルー期の腕を振り抜く動作がスムーズにできず、肩後方にストレスがかかります。
また、この筋肉に筋力低下があると、肩甲骨を引き寄せる動作が不十分になり、コッキング期に体の開きが早くってしまいます。
④の僧帽筋下部、⑤の菱形筋は、肩甲骨を内上方へ引っ張って、肩甲骨を外回りに回転させる作用があります。
この筋肉にこわばりがあると肩全体で肘を上げる動作に制限が出てしまいます。
そのため、コッキング期で肘が下がってしまいます。

⑥の大円筋、⑦の広背筋は肩甲骨を外上方へ引っ張って、内周りに回転させる作用があります。
これも相対的にコッキング期で肘が下がってしまいます。
⑧の肩甲下筋、⑨の棘上筋、⑩の棘下筋、⑪の小円筋はローテーターカフと呼ばれ上腕骨を肩甲骨にしっかりと固定する作用があります。
この筋肉に筋力低下があると肩の深層部分が不安定になります。
⑫の小胸筋、⑬の烏口腕筋は肩全体を前方へ引っ張り猫背のようになってしまいます。
そのため、アクセレレーション期で肩関節が過度に後ろに引かれてしまいます。
⑭の三角筋はアウターマッスルと言われており腕を横から上げる動作に作用します。
インナーマッスルと連動して動くため筋肉のバランスが崩れると、肩の深層部分が不安定になります。
⑮の前鋸筋は肩甲骨と体幹をしっかりと固定して安定させる作用があります。
この筋肉に筋力低下があると肩全体が体幹と連動せず不安定になってしまいます。

体幹・股関節の筋力が弱い・筋力のアンバランス


別のいい方をすると「インナーマッスルとアウターマッスルの不均衡」です。
主に肩関節でのお話です。
インナーマッスルとは、「棘上筋」「棘下筋」「肩甲下筋」「小円筋」です。
アウターマッスルは「三角筋」です。
インナーマッスルが関節面を密着させ、安定させる効果があります。
野球肩の多くはこのインナーマッスルの筋力低下を起こしている場合が多いです。
インナーマッスルの種類によって作用する方向が違いますので、どの筋力が低下しているかを検査して問題点を探します。
内旋方向へは、肩甲下筋が働きます。
外旋方向へは小円筋・棘下筋が働きます。
以下の事柄を詳しく見て、原因を探り、改善する必要があります!!
- 全身のバランスが悪い
- 体と頭のイメージが一致しない
- 変則的な投球フォーム(サイドスロー、アンダースロー)
- 変化球を多く投げる
- 運動前・後のクールダウンやストレッチ・マッサージ不足
- 運動後のアイシング不足
- 体力不足
- 過度な投球(疲れてくると投球フォームが崩れてくることがあります)
一般的な野球肩の治療
一般的には薬や電気治療、超音波治療で治療します。
重症例には肩の手術をすることがあります。
しかし、手術はほぼ必要なく、保存療法で治療が可能と言われています。
当院では、手術や薬に頼ることなく、野球肩を整体します。
当院での野球肩に対する整体



野球肩は、肩・肩甲骨周りの関節が引っかかったり、ズレたりすると発症します。
このように、しっかり原因を見極めて、野球肩を治療していきます。
鎖骨を使った肩の治療
肋骨を使った肩の治療
胸椎を使った肩の治療
肩甲骨はがし
肩拘縮の治療
肩鎖関節へのアプローチ
野球肩の治療が得意な整体師
柏駅東口店 加藤 優太(かとう ゆうた)

野球経験あり
身体と動きの専門家:理学療法士(国家資格)

