特発性側弯症とは?
側弯症の70〜80%を占める最もよくみられる側弯症です。
発症年齢により、3つに分類されます。
⚪︎乳幼児期
⚪︎学童期
⚪︎思春期
最も多い特発性側弯症は、
10歳以降に発症する思春期の側弯症です。
思春期特発性側弯症とは?
10歳以降の思春期に発症する側弯症で、女性に多く、進行は様々です。
若年時に発見された側弯症ほど進行しやすいと言われています。
多くは成長完了とともに進行は停止しますが、カーブが大きいものは進行することもあります。
早期発見、治療が重要になります。
そのため、できるだけ早く病院へ行き、相談することをお勧めします。
側弯症はどのように診断されるの?
①視診
両肩の高さ、両ウエストラインの左右差を調べます。
次に、おじきをしたときの、肩甲骨、肋骨、腰部の高さの左右差を観察します。
②単純X線像
カーブを判定し、側弯度はCobb(コブ)角で表記します。
これらの判定は側弯の程度を把握するために極めて重要になります。
③骨年齢の判定
側弯は成長期に進行するので、側弯の進行を予測するためには、骨年齢を知ることがきわめて重要です。
成長期の終わりはどう判断するの?
腸骨稜(骨盤の骨)の単純X線像により骨年齢の判定します。
腸骨稜骨端線(成長軟骨)の成熟度が6段階に分類されており、骨端線は最終的には腸骨と完全に癒合します。
病院での検査により、成長期の終わりがわかるため、病院での定期的な検査が必要になります。
側弯症の治療はどんなことをするの?
基本的に、保存療法です。
具体的に言うと、経過観察です。
3ヶ月や半年、1年後に再診をして、単純X線像を確認します。
年齢と側弯の度合いによっては、装具療法による治療が開始されます。
装具療法でも側弯症の度合いが進めば、手術になる場合もあります。
「経過観察だけでは不安だ!」と感じる方へ
定期的な検査は必要ですが、経過観察の期間に側弯の度合いが強くなることもあります。
当院では、側弯の改善、進行防止のために、シュロス法という運動療法を経過観察の期間から行います。
側弯により、呼吸の仕方や体の使い方の癖が隠れている場合が多く、これらの評価を行い、改善に向けて、1人1人に合わせた運動プログラムを実施していきます。
運動療法がなぜ重要なのか?
思春期特発性側弯症は原因となる素因が特定できないものですが、遺伝要素の関与やクラシックバレエなどの一部の運動が発症に影響することが知られており、様々な要因を考慮して治療することが必要です。
脊柱への力学的な負担もその進行に関与する部分は大きいと考えられています。
その力学的な負担を修正する点において運動療法の有効性が期待されます。
シュロス法とは?
シュロス法による姿勢評価の特徴は、体を後ろからみた時(前額面)の背骨の曲がりだけでなく、上からみた時(水平面)のねじりや横からみた時(矢状面)の曲がりを考慮した、三次元的に姿勢を捉える点にあります。
これらの評価から、側弯変形のタイプを分類し、それに応じて運動療法を展開します。
胸椎のカーブに対しては、主に呼吸や肩甲骨を介した肋骨運動と脊柱回旋・側屈の修正を行います。
腰椎のカーブに対しては、骨盤位置の修正を用いて凹側の拡大を図ります。
これらの運動療法の介入によって、側弯症の進行を防止し、最終的な手術を回避することが目的になります。
運動と聞くと、ハードルが高く、どんな運動をするのか不安になる方も安心です。
キツイ筋トレなどとは違い、横になりながらや座りながらの運動療法から始めますので、運動が苦手なお子様も、無理なく継続できています。